第1講 脂質

脂質という言葉は高校ではあまり馴染みのなかった言葉かもしれません。質問にもありましたが、脂肪・油脂という用語として高校時代に習っているのではないかと思います。いわゆる「アシル」(※)グリセロールが脂肪を構成する代表的な分子です。大学ではこれに加えて、「リン脂質」という大事な分子のことを学びました。

 

重要な点としてあげたのは以下の2点+アルファです。

【1】 脂肪酸の性質と表記法について、特に不飽和脂肪酸の表記法を理解してください(過去問でも出ています!)。

【2】 大学で学ぶ生物学・生化学では、リン脂質という脂質がアシルグリセロールやコレステロールなどと同様に重要になります。リン脂質は、細胞と外界の境となる生体膜を構成する分子です。さらにこのリン脂質の分解(酵素反応によって、様々なかたちで2つの部分に分かれます)が様々な生物反応の引き金になります。ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼCの例をあげてみました。

【3】上の2点に加えて、アシルグリセロールや様々なリン脂質の種類を覚えてください。

脂質のお話は、生化学Iの最後の方で、体の中を巡る脂質という視点から再登場する予定です。 

 

※「アシル基」ってなんですか?という質問を受けました。まだ出てきていない用語かもしれませんね。アシル基はヒドロキシ基やカルボキシ基のような官能基の一種です。脂肪酸に由来する官能基で、

として表されます。なんでこんな呼び名になったのか、その理由ですが、ラテン語の”acidus(酸)”に”-yl”が接続されてできた呼び名のようです。

 

気をつけているつもりですが、講義中に用語がいきなり英語で出てくることがあります(多分)。今回のように、その都度尋ねてください。