疾患生物学特論の講義シリーズに声をかけていただきました。依頼のあった8月は、2013年でも本当に動きの多かった月でした。今回は糖鎖の話でまとめたいという思いがあり、
「生体防御系で糖鎖が表現する個体多様性と微小環境」
というタイトルでやってみました。
自分の中でも糖鎖研究の全貌を消化できていないと感じることが多いので(そしてそのような人間が講義をしてもつかみどころのない淡白な話になりそうなので)、本当にざっくりした糖鎖の話を紹介しました。
・糖蛋白質上の糖鎖が入れ替わる話
・細胞外にあると怪しまれる糖鎖、安心そうに見える糖鎖、
これを利用したトリパノソーマの擬態
・糖鎖末端に表現される構造の多様性
・種の中に表現される多様性(血液型)
・免疫グロブリンに関する「ありえない」実験結果の解明の鍵を糖鎖が握っていた話
・ヘパラン硫酸などの硫酸化糖鎖が提示する特徴的な場
などの話になりました。生物のなりわいを理解する上での糖のユニークなはたらきについて、取り上げることができました。
今期は、教科書の第11章「carbohydrates」を初めて担当します。一部は学部生対象にアレンジし直して、また紹介したいと思います。